「マーケティングは善か?それとも悪か?」
MBAでマーケティングを勉強する度に、心に浮かぶ疑問です。
皆さんも、感じたことはありませんか?
テレビを見ていると何度も出てくるあの会社のコマーシャル。
人気の高いタレントを使って商品の良さをアピールしてきますよね?
時には具体的な売り文句で、時にはどことなく醸し出されるイメージで、「この商品、絶対買った方が良いよ!」と訴えかけてきます。
日本の商品はどれも質が高いので、それを買って「うわ、こんなガラクタ買っちゃったよ。」と後悔することは少ないと思いますが、「よく考えたら、別にこの商品じゃなくても良かったのに・・・」なんてご経験はありませんか?
では、もしあなたがマーケティングの担当者だったら?
何としても自社の商品を売りたいですよね?
競合他社の商品よりも、自社の商品を買ってもらいたいですよね?
そのために、コマーシャルを打ち、メッセージ性の高いパッケージをデザインし、目立つ棚に並べて貰えるように小売店と交渉する。。。
こんな疑問を持つかもしれません。
「お客様は、果たして幸せになるのか?」
マーケティングの理想と、消費者として感じる違和感
こんなことを書くと、マーケターに怒られそうなので補足しておきます。
マーケティングの目指すところは、「商品を本当に必要としているお客さまの元へ、商品が届く仕組みをつくること」だと、私は理解しています。
そうすることで、売り手側も買い手側も満足できるような仕組みです。
本当は必要としないものを、顧客に掴ませるための取り組みではないはずです。
良い商品を作るだけでは、商品は売れない
「良いものを作り続けてさえいれば、お客様にきっと買ってもらえる。」
日本には、そう信じて商品の改良に没頭し、売ること自体に無頓着な生産者が多い。
しかし実際は、顧客の目に留まって商品の良さを理解してもらえなければ、その商品が売れることはありません。
セールスとマーケティングは、「ここにあなたの欲しい商品がありますよ!」と伝えるためにあります。
消費者は、マーケティングを信頼しているか?
私も消費者の一人として、スーパーマーケットで野菜を買い、携帯電話会社と通信サービス契約を行い、ドラッグストアで買ったサプリメントを飲みますが、スーパーや携帯電話会社やドラッグストアが、私にピッタリな商品を届けてくれているとは思いません。
彼らのマーケティング施策が、ピッタリな商品探しを助けてくれているとも思いません。
1年間も高い手数料を払った挙句、「他の会社と契約した方が、年間1万円も安く済んだのかよ。」と落胆したこともあります。
1000mg配合された化学成分(たった1g)が、どの程度自分の体に良い影響を与えたか、判断できません。
マーケティングの素晴らしさを学ぶ一方、消費者として「マーケティングは信じるな」という教訓をすでに持っていることが、最初の疑問(「マーケティングは善か?それとも悪か?」)に繋がります。
マーケティングの善と悪
つまり、マーケティングというのは強大な力を持っていて、「本当に良い商品を、本当に必要としているお客様に届けること」ができれば、「本当は必要としていない商品を、お客様に届けること」もできるのです。
この問いから導き出す私個人の結論は、
①マーケターは、商品を本当に必要とするお客様に届く仕組みになっているか?を常に自問する必要がある。
②消費者は、世の中の多くのマーケティングは完全ではなく、消費者自身も完全に論理的な判断ができないため、不必要なものを手に取ってしまう可能性があることを肝に銘じておく必要がある。
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