MBAの必修科目について解説します

MBAに興味のある方へ

どうも。それでは前回記事:そもそもMBAとは一体何なのか?ざっくり解説に引き続き、「MBAって一体何なのか?」という疑問にお答えしていきます。

今回は、MBAの必修科目についてご説明したいと思います。

一般的な大学の学習課程と同じく、MBAにも「必修科目」「選択科目」が存在します。

「必修科目」は、MBAの学位認定のために必須となる科目で、「絶対に勉強すること」= MBAホルダー誰しもが勉強する内容、となります。

「選択科目」は、個人の興味に合わせて履修する科目です。

ここでは、MBAに対する基礎的な理解を深めるため、「必修科目」にどのような学問が含まれているのか解説したいと思います。

必修科目を理解すれば、MBAを通して何を学ぶのかおおよそ把握できるでしょう。

ただ、必修科目と言っても、大学が違えば必修科目にも若干の差がありますので、本記事では筆者が複数の大学のカリキュラムを確認した上で、必修指定されることの多い8科目を厳選してお伝えいたします。

①経済学

経済の仕組みについて学びます。

経済学の目的は、経済の動きのパターンを知ることです。

例えば、人々はどのような状況でアイスクリームを多く買うようになり、企業は車の生産を減らし、政府は二酸化炭素排出に税金をかけるのかを考えます。

これが頭に入っていれば、経済に関わる様々なプレーヤーに対して、「おそらくこのように動くだろう」と予測を立てることができます。

経済学には、「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」の二つの分野に分かれます。

ミクロ経済学では、1人の消費者が何をどれだけ買うのか(消費行動)、モノの生産者である1つの企業はどれだけのものを作りどれだけの従業員を雇うのか、そういった細かな動向を探ります。

いきなり市場全体のメカニズムを解明しようとしても、複雑すぎて何が起こっているのかわからないので、まずは最小単位で物事を考えよう、ということです。

逆にマクロ経済学では、ミクロ経済学の理論をベースにして、より大きな経済のメカニズムを追います。

例えば、とある国における物価上昇の発生原因や、失業率の増加を食い止める方法、国の経済成長を維持・加速させるために政府が取るべき政策などを議論します。

中央銀行の役割や、財政黒字・赤字が為替市場に与える影響等も、この学問にて取り扱います。

日頃より、マクロな世界経済のニュースを耳にすることはよくあるかと思いますが、マクロ経済学を理解することで、そういった各国の政策の意図やそれら政策による市場への影響を推察できるようになります。

②経営戦略論

その名の通り、会社経営における戦略を学びます。

経営戦略というくらいですから、社長や経営幹部、あるいは部門長レベルの目線での戦略です。

例えば、「最近、売上の伸びが鈍くなってきているから、新商品を出そう!」と思いつくのは、比較的簡単です。

しかしその”戦略”は、当たるかもしれませんし、はたまた失敗するかもしれません。

ビジネスをただのギャンブルにしないために社長がすべきは、その”戦略”が、どの程度筋が良いのか、成功する可能性がどれくらいあるのか、はたまたもっと良い手があるのか?、これらを見極めることです。

経営戦略論では、このような重大な意思決定において“筋の良さ”を見極める方法を学びます。

おおまかには、「現状を知る(市場・競合・自社の分析等)」と「打ち手をいくつか出して、最も筋の良いものを選ぶ」を練習していきます。

③会計

会計には、財務会計(いわゆる簿記)と管理会計の2種類があり、通常はその2つが必修科目として指定されます。

財務会計では、会社の帳簿の読み方を学びます。

帳簿には、貸借対照表(バランスシート)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書の3種類があり、これらすべてが自動車で言うところのスピードメーターの役割を果たします。

車のダッシュボードには、スピードメーターやタコメーターだけではなく、様々なインジケーター(警告灯)が用意されており、車の走行状態(どれくらいのスピードを出しているか)や、車の健康状態(タイヤの空気圧は正常か、ラジエータの温度は適切か等)等を知らせてくれます。

運転者はそれを見て、車がうまく動いていることを確認しますよね?

ビジネスでは、3種類の帳簿(財務諸表と言います)を見ながら、ビジネスが上手くいっているのかを判断し、今はアクセルを踏む時か、いったん止まって給油すべき時かを判断します。

しかし、財務諸表は車のダッシュボードと違って、一目見ただけでは何がどうなっているのかサッパリ分かりませんので、財務会計でその見方を学びます。

一方で管理会計は、財務諸表を社内用にカスタマイズして、経営に役立てていこうとする会計です。

財務諸表そのものを見るだけでも経営には大いに役立ちますが、経営者が知りたいことに合わせて別の指標を作ることができます。

例えば、パン屋さんを経営していたとして、1か月に何個売れば黒字になるのかを知りたい場合は、商品の販売価格と変動費(材料費等)、そして固定費(家賃等)が分かれば具体的な個数が分かります。また、メロンパンとクリームパンとアンパンのどれを売るのが儲かるのかが知りたい場合は、損益計算書を3種類の商品ごとに分けて作成すれば判断できます。

④コーポレートファイナンス

ファイナンスという学問にもいくつかの種類がありますが、ここではコーポレートファイナンスを学びます。

これは、ビジネスに必要なお金を調達する方法と、調達したお金をいかに上手く投資してより多くの利益を得るかについて、企業の視点から学習するものです。

まずは重要な知識として、お金の現在価値と将来価値を計算するというものがあります。

これが分かれば、時間軸の異なる収益や支出の価値比較が可能になります。

要するに、来年得られる100万円の利益と、10年後に得られる300万円の利益のどちらの方が価値が高いのかを判断できるようになります。

この考え方を元にして、複数の投資案件の中から、最も価値の高い案件を見つけることができます。

例えば、初期投資が100万円必要で、向こう3年間に渡り年50万円の利益を出すプロジェクトAと、

初期投資が250万円必要だが、出資後3年目から向こう3年間に渡って年150万円の利益を出すプロジェクトBのどちらに投資すればよいか、

単純計算の難しい上記のような投資判断ができるようになります。

⑤マーケティング

マーケティングの定義は一様ではありませんが、私の好きな定義は「企業が自ら売り込まなくとも商品が売れる仕組みを作る学問」というものです。

その売れる仕組みづくりの一つとして用いられるのが、TV広告やメールマガジン等になります。

マーケティングでは、それらマーケティング手法に関する学習はもちろん、顧客ターゲット選定や商品の開発、ブランディングや商品価格設定等もその範疇です。

近年は、従来より有効とされてきた一般大衆向けマーケティングよりも、デジタルツールやSNSを用いた個別・双方向型マーケティングの方が優位となっており、昔からセオリーとされてきた戦略が通用しなくなっています。

このような市場の変化に合わせた学問自体の変化がまさに起こっている科目でもあります。

⑥オペレーション戦略

オペレーション戦略とは、商品やサービスの開発から、生産~流通~販売(提供)の一連の流れを管理し、ビジネスとしての競争力を上げていくことを目指す学問です。

同じような商品を取り扱っているにも関わらず、A社よりもB社の方が製品の品質が良い、価格が安い、あるいは利益を多く生み出しているというのは、両社のオペレーション戦略に差があることが多いです。

オペレーション戦略で成功した有名企業(Amazonやトヨタ)の実例やそこから見出されたセオリーを学びながら、「現場で差をつける」方法を学びます。

⑦組織行動論・リーダーシップ

主に組織のリーダーとして、いかに組織(チーム)を引っ張っていくかを学びます。

組織の目指すゴールに到達するには、組織のメンバー一人一人の士気を高め、いきいきと働いてもらう必要があります。

そのために必要なリーダーとしての心構えや、メンバーのやる気を高め、かつそのやる気をゴールに向けさせるための方法論や、組織づくりに関して学習します。

⑧統計学

あれ?最後だけ何かビジネススクールっぽくない…. と思われたかもしれません。

そんなことはありません。統計はビジネスを行う上での必須スキルです。

ビジネス上で取り扱うデータ(例えば、売上データや商品の生産数)は、綺麗で分かりやすい数値であることは稀で、ほとんどはある程度のばらつきや外れ値(イレギュラーな数値)を持っています。

そのような複雑なデータを読み取るのに統計学は役立ちます。

例えば、とあるスーパーマーケットで、100円割引のクーポンを配布したとしましょう。売上データには、顧客ごとの購入した商品と売上単価、それにクーポンの使用有無が記されています。

これを、クーポンの使用有無でグループ分けすれば、クーポンを配ったことで売上単価が上がったか(より多くのお金を払ってくれたか)が分かりそうですね。

分析した結果、クーポン有の顧客の方が、クーポン無しの顧客に比べて、売上単価が100円多いことが分かりました。

ん?これは、クーポンのおかげで100円上がったの?それとも、単なる誤差なの?

こんな(現場ではあるあるの)悩みを、統計学は解決してくれます。

まとめ:MBAで学ぶことはこれだけじゃない!

いかがでしょうか?

ここでは、MBAの代表的な必修科目を解説しましたが、この他にも学べることはたくさんあります。

選択科目については、本ブログにて随時ご紹介していきたいと思います。

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