どうも。今回は、「MBA取得は時間のムダなのか!?」というテーマに対し、現役MBA生である私の感じる「こんなはずじゃなかった…」のギャップを3点述べたいと思います。
というのも、巷では「上辺の知識だけ揃えて実業務では全く役に立たない “なんちゃってMBAホルダー” が多い」と揶揄されたり、
投資する時間とお金に対して、得られるものが割にあっていないという意見もあります。
現役海外MBA生である私は、そんな ” MBA不要論 “の存在を知りながらも、私なりに意味を見出してMBA取得に踏み切ったわけですが、
実際にMBAの授業を受けてみて、「あれ?思い描いていたものと少し違うな…」と感じる部分があるのも事実です。
キャリアチェンジやキャリアアップの手段としてMBA取得をお考えの皆様に、
“MBA取得のリアル”をお届けできればと思います。
巷でささやかれる ”MBA意味ない”論
よく言われるMBA不要論は、以下の通りに集約できます。
- MBAで理論を学んだとしても、実際の業務でそれを生かせるかどうかは別の話
- MBAという肩書きには意味はなく、それがあっても職が保証されることはない。
- 時間とお金がかかりすぎる。そんなに投資しなくても、経営学を学ぶ方法は他にもある などなど
これらは、MBAという”肩書き”に憧れて飛びついたら後で痛い目を見るぞ、という忠告に見えます。
どこか、「東京大学を出たからといって使えるヤツかどうかなんて分からん。ポンコツもイッパイ居るんだ。」という意見に似ていますね。
“東京大学卒業”という学歴が効果を発揮する、いわゆる学閥は学歴フィルターのようなものが存在する分まだ良い。
MBAに関しては、それに価値を見出す日本の企業は少ない。
「MBA取得者を採用します!」という企業はコンサル会社や大手事業会社くらいですし、そうでない会社は、MBAホルダーをどう扱って良いか分からない。
せっかく、MBA留学で経営について幅広い勉強をしたにも関わらず、拠点の営業のような「MBAで手に入れた俯瞰する視点の役に立たなそうな」職を任されるケースもたくさんあります。
「MBAコースを卒業しただけでは何の価値も生み出さない。むしろ勝負は卒業してからだ。」という危機感は、現役MBA生である私も強く感じるところです。
現役MBA生が感じる「こんなはずじゃなかった」3点
上の項で示したような “MBA不要論” を理解した上で、
「それでも、MBAを取得する価値が、私にはある。」と結論付け、今こうしてビジネススクールにいます。
(私がMBA留学を決意した経緯は、「社会人である私が留学を決意した理由|実際に留学してみて思うこと」にまとめてあります。ご参考までに。)
それでも、実際に学び始めてみると、
「MBA留学前に描いていたもの」と「実際にMBA留学してみて感じること」にギャップを感じる部分があります。
① 学校自体が就職予備校になっている
これは、「原則、すべての生徒が仕事を辞めてMBAコースに入学している」フルタイムの海外/国内MBAに限定したお話です。
あらゆる面で、学び舎というよりも “就活予備校” です。
よく考えれば当たり前の話なのですが、生徒はみんな仕事を辞め、人によっては多額の借金(奨学金等を利用)をしてまで入学しているので、
卒業後に収入を上げられるかが、何よりも大切なのです。
つまり、MBA取得の目的が「名だたる企業へ就職すること」である生徒がほとんどです。
さらに学校側も、就活ファーストのニーズに全力で答えるために、「就活の役に立つように」プログラムをデザインします。
例えば、在学中に行う企業インターンシップに役に立つ(小手先の)テクニックを教える授業を提供したり、就活対策プログラムを(通常授業を押しのけて)開いたります。
あなたのMBA取得の目的が、「良い企業に就職すること」であれば、これは願ったり叶ったりだと思います。
しかし、日本での就職を考えている場合は、先述の通り「MBAを評価する企業は限られている」ことをしっかりと頭に入れて、卒業後のキャリアを戦略的に考えることをオススメします。
MBA取れば大丈夫、と高を括っていると、足元をすくわれます。
② 深い学びが得られるかどうかは、本人次第
就活予備校と化してしまった場合の一番の弊害は、生徒の学習意欲が削がれることです。
就職活動が本格化すると、それに気が取られてしまう分、生徒の授業に対するモチベーションがあからさまに低下します。
在学中の成績に目を通す企業は限られていますので、「就活のために良い成績を取ろう」とはなりません。
就活の忙しさを言い訳に、チームワークで手を抜く学生も現れますし、授業への出席率も下がります。
学校側も、生徒1人1人の学びの深さに対するケアは行いません。むしろ、就活ファーストで成績を軽視する職員も出てきます。
私が最もショックを受けたのは、とある就活支援課の担当からのコトバでした。
就活支援課担当:「君たち、今期末試験で忙しいことは分かる。だが、経済学で良い点を取ったところでそれが君たちのキャリアに役立つのか?そんなところに力を注ぐくらいなら、少しでもネットワーキング(企業の社員とのコミュニケーション)をしなさい。」
大半が「働きながら学ぶ」グロービス経営大学院に通い、「学びに意欲的な仲間と高め合うこと」に魅力を感じてMBAを志した私にとっては、大きなギャップでした。
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「学び」を第一優先事項に掲げる場合は、異なるゴールを目指す周囲の人間に惑わされずに学習を続けられるかどうか、自身に問い直した方が良さそうです。
③ 卒業する頃には、世の中は大きく変わっている
3〜5年をかけてキャリアアップを目指していくMBA取得という手段は、想像以上に世の中の変化に弱いです。
つまり、MBA取得までに時間がかかりすぎるために、取り終えた頃には世の中の状況が大きく変化していて、MBA取得が役に立たなくなるリスクがある、ということです。
例えば、私がMBA取得を志したのは2017年のこと。そこから必死で英語の勉強をして、2019年に大学へ入学。2021年に学位が手に入る予定です。
2017年は、世界的には好景気の真っ只中。就職口が広いこの時期に一気にキャリアアップしようと考えた人々が、私のクラスメイトです。
ところが、2020年1月より新型コロナウイルスの蔓延に起因する世界的な不景気に突っ込みました。2020年以降に卒業を予定する学生たちは、インターンシップの中止や内定取り消し等の影響をもろに受け、ことごとく輝くキャリアアップのはしごを外されています。MBAを取ったとしても、雇い主がいないのでは話にならない。
「あぁ、こんなことならMBAになんか来ずに転職活動しておけば良かった…」と言いたくもなります。
誰も予想できない世の中の変化なので、仕方がないことではありますが、投資する時間が長い分、このような事態に柔軟に対応できない弱さを感じます。
MBA挑戦に当たっては、卒業する頃には世の中が変わっている可能性があることは、頭に入れておくべきです。
MBAで学ぶことの少なくとも半分は、ビジネスの原理原則であり時代の変化の影響を受けないものなので、世の中の変化によりコンテンツ自体が陳腐化してしまうことは稀です。
しかし、時代の変化によって「学びたいこと(自分の興味)」は変わる可能性がありますので、入学後も履修科目を臨機応変に変えられるプログラムを選んでおくことをオススメします。
私の場合でも、在学中にYouTubeを用いたビジネスモデルが流行ってきたので、当初興味を持たなかったWebマーケティングやSNSマーケティングを勉強する方向にカリキュラムを修正しました。
まとめ:MBA取得で「こんなはずじゃ…」に陥らないためには
いかがでしょうか。
今回は、MBA取得をキャリアチェンジやキャリアアップの手段としてお考えの皆様に、
“MBA取得のリアル”をお届けしました。
結局、体験してみないと分からない部分が多いので、取得前に「こんなはずじゃ…」を予期するのは難しいです。
1つ、私からオススメできる解決策としては、「MBA現役生や卒業生に意見を求める」です。
それも、学校説明会のようなポジショントークの求められる場ではなく、カジュアルに本音が聞き出せるような場で感想を聞いてみることをオススメします。
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