Amazonのビジネスモデルが優れている4つの理由【ビジネスの視点から解説】

企業研究

どうも。今回は、企業研究第二弾ということで、Amazon.com, Incについてビジネスの視点から解説したいと思います。

日本に住んでいた頃も日常的にAmazonを利用していましたが、彼らのビジネスモデルについてはよく理解していませんでした。

そんなAmazonのスゴさをまとめた「amazon 世界最先端の戦略がわかる 成毛 眞著」を参考に、彼らのビジネスの全体像を学んだのですが、目からウロコな戦略がたくさん。

Amazonをただ消費者として利用しているだけではもったいない。この記事を読んで、彼らのビジネスの秀逸さを感じ取り、ご自身のビジネスに生かしてみてください。

Amazonのビジネスモデルがどこよりも優れている4つの理由

理由① 「Everything Store」と「どこよりも安く」を両立

Amazon.comでは、2016年5月の時点で、1,220万種類ものアイテムを取り扱っています。

この圧倒的な品数の多さは、Amazonの最大の特徴の一つです。

更にびっくりするのが、この品数の多さにもかかわらず、取り扱う商品の一つ一つが“安い”ということです。

ビジネスの常識で言えば、取り扱う商品の種類を絞った方が値段は安くなります(まとめて仕入れることで単価を下げることができる)。

Amazonのように商品の種類を増やすと、商品1種類あたりの仕入れ数は少なくなりますので、単価は上がってしまいます。

また、商品棚にそれらを並べることを考えると、種類を増やすだけ陳列棚の面積は増えていきます。

このため、「多くの種類の商品を安く提供する」のは、資本力のある大型スーパー(どの商品もまとめ買いできる、店舗面積も広い)の特権でした。

そこへ、Amazonが割って入ってきました。彼らは、Eコマース(インターネットでの売買)のビジネスなので、たくさんの種類のアイテムを取り扱っても”陳列棚”には制限されません。

さらにAmazonは、アマゾンマーケットプレイスとフルフィルメント・バイ・アマゾンいう画期的な仕組みを導入しました。

アマゾンマーケットプレイス

これは、Amazon以外の企業がAmazonのサイトに商品を出品できるというサービスです。
これにより、Amazon自身が何もしなくても、多くの企業がAmazonのサイトに出品することで、自然と商品の種類が増えていきます。

「他企業の出品を許すと、サイト内が様々な店舗で溢れ返り、お客さんが混乱するのではないか?」と疑問を持たれるかもしれません。

しかし、他企業が出品したものもすべて”Amazonが”売ります。
支払いや配送も全てAmazonが代行します。顧客はAmazon以外に個人情報を渡す必要はありません。
もしかしたら、その商品がAmazon以外の企業から来ている、と気づかずに買い物を済ませるかもしれません。
こうすることで、他の力を借りて商品のラインナップを高めつつ、顧客は”Amazonのお客様”であり続けます。

フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)

Amazonのサイト上で販売しない商品についても、取り扱いを代行するというサービスです。
他の企業がFBAを使えば、商品の保管や配送手続きをすべてAmazonがやってくれます。

 

加えて、Amazonはカスケードという仕組みを使って、複数の商品の仕入れ先から最安値で仕入れられる仕入れ先を自動的に見つけることができます。

Amazonは、卸業者との関係性に制約を受けることがありません。

また、アマゾンマーケットプレイスとFBAの存在が、安値実現にも貢献しています。

これら2つのサービスにより、Amazonはあらゆる企業の商品取引情報を入手する事ができるからです。

「最近、この商品が売れ始めているぞ」のような情報を、アマゾンマーケットプレイスとFBAを介して手に入れることが可能です。

このデータをAmazonの商品仕入れに利用して、正確に商品の売れ行きを予想し、安値で大量に商品を仕入れるのです。

理由② 手元に現金が先に入るビジネスモデル

Amazonというビッグプラットフォームを最大限に生かしたビジネスモデルです。

先ほど、アマゾンマーケットプレイスについてご説明しましたが、実はこれは、

商品購入者からAmazonが先に商品の代金を受け取り、それを後で商品の出品者に(手数料を差し引いた後)渡す

という仕組みになっているのです。

つまり、Amazonの元に一時的にお金が勝手に集まる仕組みです。

さらに、Amazonと言えばAmazon Primeという会員サービスが有名ですね。

アメリカのサービスでは、年間119ドルを支払う事でプライムメンバーになれます。

プライムメンバーの特典の魅力に引き寄せられ、多くの顧客が会員サービスに流れていますが、この会員費も前払いです。

ということで、Amazonは手元に現金が先に入ってくるビジネスモデルを構築しているのです。

 

これの何が良いかって?

そもそも会社を経営していく上で、手元にいくらかの現金(あるいはすぐに現金化できる資産)を確保する必要があります

それができなくなるのが黒字倒産。儲かっているのに、借金が返せなくなってしまうんですね。

さらに、彼らはこの現金をガンガン投資に回しているのです。

投資銀行のような稼ぎ方もできますし、自社のビジネスにガツンと投資してサービス品質を向上させることもできます。

余った現金を投資→投資により売上UP→さらに投資、のサイクルが上手く回っているのが Amazonの経営です。

理由③ お客様のことを第一に考えたサービス

Amazonのビジネスからは、「とにかくお客様のことを考える」という一貫した姿勢が見て取れます。

まずは、即日配達に代表されるような異次元のサプライチェーン

理由①で書いたようなEverything Storeがどこよりも安値で商品を並べていて、しかもその商品が明日には届いちゃう、となれば、買わない理由は無いですよね?

何でもあって、どこよりも安くて、しかもどこよりも早く届く、という顧客からしたら夢のようなサービスを実現させるため、Amazonは物流網に巨額の投資をしています。

アメリカ国内に巨大な倉庫をいくつも構え、4000台の配送トラックを持ち、航空機だって16機レンタルしています。

アメリカ人口の44%が、Amazonの何かしらの施設から32km圏内に住んでいることになるそうです。

やり過ぎとも思えるこれらの投資もすべて、「どこよりも早く届く」という顧客満足を実現するためのものです。

次に、プライムメンバーの特典

非会員よりも早く荷物が届くだけではなく、一部の書籍が読み放題、Amazon Prime Video見放題、Amazon Music 聴き放題、、、

もはや物販には関係の無いところにまでガンガンサービスを伸ばしています。

こうして、プライムメンバーの生活のあらゆる所にAmazonが存在する。そんな状況が実現しています。

おそらく、プライム会員をやめた途端、日常の至るところで不自由を感じるでしょう。

「あぁ、なんてAmazonって便利だったんだ・・・」

実は、プライム会員の年会費は年々上昇しています。

アメリカの例だと、最初は年間79ドルだったのが、今では119ドルになっています。

それなのにむしろ会員は増える一方。

当然ですが、プライム会員の方が、非会員よりもAmazonにとっても良いお客様(利益率が高い)です。

このように、徹底した顧客第一のサービス構築が、顧客をAmazonから離さないのです。

理由④ トライ&エラーで上手くいく事業を見つける → 収入源の多角化

アメリカの巨大IT企業をGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)と略して論じられることは多くありますが、Amazonは他の3社と比較して、大きな違いがあります。

それは、Amazonだけが、「事業の多角化(複数の事業から利益を上げる)」に成功しているのです。

創業当時は、本をインターネットで売る会社としてスタートしたAmazon。

そこからEverything Storeに変貌を遂げるわけですが、現在はどうかというと、最も大きな収益源は、Amazon Web Serviceというクラウドサービスプラットフォームです。

元々は、自社用に開発したインフラだったそうですが、それを商用転用し、大成功を収めています。

他にも、様々な事業に手を出しています。生鮮食品の宅配サービス、スマホ、オークションサイト、電子送金サービス、検索エンジン、、、

そのほとんどは上手くいかず、早々に手を引いているのですが、この「試してダメだったら引き上げる」の姿勢が面白い。

実はAmazonの業績は、ずっと赤字で推移しています。

その理由は、利益としてお金を残すことなく、新規事業や既存の事業に投資し続けているから。

その徹底した前傾姿勢が事業多角化に成功した鍵だったと言えます。

まとめ:Amazonがビジネスモデルとしてスゴイ理由

いかがでしたか。普段当たり前のように使っているAmazonが、いかにビジネスモデルとして優れているかがお分かりいただけたかと思います。

正直、このAmazon帝国の牙城を崩せる企業が現れるのか、見通しが立ちません。

逆に、Amazonの新規参入により食われて行った既存のプレーヤーの死体が至るところに転がっているくらいですから。

ただ、その帝国と張り合うのではなく、彼らのビジネスモデルから学んで生かすことはできます。

そうやって、帝国の手の届かない領域を探していくことが必要でしょう。

 

参考図書

amazon 世界最先端の戦略がわかる 成毛 眞著

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