本記事では、MBA留学生が狙う卒業後の主なキャリアについてお伝えしたいと思います。
もちろん、卒業後のキャリアパターンをすべて網羅できているものではありませんが、「MBA留学生は、卒業した後はどんな道に進むのか?」という疑問に対して、ざっくりとしたお答えができるかと思います。
MBA留学生は、卒業後にどんなキャリアを狙っているのか?
卒業後のキャリアは千差万別ですが、MBA卒業生や私の同級生、あるいは現在MBA留学に向けて準備を進めている方々の話をお聞きすると、見据えている卒業後のキャリアは①転職、②起業、③留学前に勤めていた企業に戻る(出戻り)の3つのパターンに大別できそうです。
①転職(海外・国内)
MBA留学開始前には仕事を辞め、無職の状態で留学し、在学中(あるいは卒業後)に新たな就職先を探します。
年収アップを目指す
MBA留学には、多くのお金と時間を留学に注ぎ込む必要がありますので、卒業後にその莫大な投資からリターンを得ようとするのは当然の流れですよね。
MBA留学を通して、前職よりも高い給与が貰える会社、あるいは就職後のキャリアアップによって更なる給与アップが見込める会社への転職を目指す方は多くいらっしゃいます。
残念ながら、日系企業においてMBAの学位を持っていることがそのまま給与上乗せに繋がることは少ないようです。
年収アップを目指すには、MBAホルダーにお金を積んでくれる外資系企業を目指すか、前職よりも給与水準の高い(昇進機会が望める)業界を目指して転職することになります。
キャリアチェンジの軸は、「場所」「業界」「職種」
MBA留学を、キャリアの軸を変える「分岐点」と考える方も多いです。
つまり、前職での経験と、MBA留学中に学んだことを生かして、卒業後は前職のキャリアの延長線上には無かった道に歩み始める、というものです。
例えば、前職では会計士として働いていた方が、MBA在学中に経営コンサルティングについて深く学び、卒業後は経営コンサル会社に転職するようなケースです。
会計士の仕事を続けている間は、他の会社の経営状態に口を出すような機会は訪れなかったと思いますが、MBA留学と転職を経て、キャリアの方向転換を可能にしています。
こう聞くと、MBA留学はどんなキャリアチェンジも可能にする凄まじい力を持っている、と感じられるかもしれませんが、そう甘くはありません。
MBA卒業後の進路として、前職の経験が全く生かせないような会社を選ぶのは、一般にはとてもハードルの高いことです。
現実的には、「場所」、「業界」、「職種」の3つの軸のうち、1つまたは2つの軸をずらしてキャリアチェンジを考えていくほうが成功率が高いようです。
例えば、”日本の電機メーカーで営業としてはたらく方”がMBA留学を通してキャリアチェンジを考える場合、「場所」と「職種」の軸をずらして、”アメリカの電機メーカーでマーケターとしてはたらく”ことを目標に就職活動を行うとします。
この方にとっては、アメリカで働くのもマーケターとしての仕事も初めてですが、電機メーカーに勤めた経験は転職先でも大いに生きてくると考えることができます。
②起業する
MBA留学で得た知識や経験、または人脈を活用して、卒業後は自分でビジネスを始める方もいらっしゃいます。
これはあくまで私の肌感覚ですが、学校に入学する前から起業を考えているケースよりも、在学中にビジネスについてあれこれ学んでいくうちに「自分でビジネスを創ってみたい」と考えるようになるケースの方が多い気がします。
MBA留学を通して、社長や経営幹部の目線であれこれ考える癖がつくため、起業意欲が湧いてくるのも自然なことだと思います。
起業という選択肢を選ぶ以上は、MBAの学位や就職活動に縛られることも無くなるので、アイデアが固まった段階でさっさと学校を中退する方もいます。ビジネスを興す国も場所も自由ですよね。
ただ、前述の通りMBA留学に際して多くの資金を注ぎ込み、負債を抱えている場合がほとんどであるため、MBA留学を経て起業する場合は、留学費用の返済と、起業にかかる資金の準備について綿密な計画が必要となります(この辺はMBAホルダーの得意分野になるはずですが)。
何も、資金繰りの苦しい卒業後にすぐさま起業しなければならない理由は無いと思いますので、卒業後は一旦企業に就職し、資金の準備が出来たら退職して自分の会社を立ち上げるという折衷案も有効かと思います(実際にそうしている方もいます)。
③留学前に勤めていた企業に戻る
退職することなくMBA留学を実現した方にとっての選択肢です。
グロービス経営大学院に代表されるような、「働きながらMBAが取れる」大学院もたくさんあります。
例えば、平日はマーケターとしての仕事を続けながら週末にMBAに通い、卒業後は昇進と共にマーケティング企画の職に就いた方がいらっしゃいます。
MBA留学を経て、物事を俯瞰した目で捉えるトレーニングを積み、管理職や企画職にキャリアアップした事例です。
また、世界的には稀なケースではありますが、「社費留学制度」を設ける企業は多く存在します。この制度を使えば、社員は派遣元企業から資金的援助を受けながら退職することなく留学することができ、卒業後は派遣元企業に戻っていきます。
こちらも例を挙げると、留学前は経理部で活躍していた方が、海外MBA留学を経て海外事業部門に異動し、海外新規事業を立ち上げるプロジェクトに配属となりました。
海外在住経験とMBAでの学びが、新しい職場での未経験の仕事に繋がっています。
このように、「辞めずにMBA組」の方々の目には、MBA留学を社内でのキャリアアップや、キャリアチェンジの機会と映っています。
「辞めずにMBA組」にとっては、卒業後の配属先が一番の懸念事項です。
せっかく留学したのに、卒業した後も留学前と似たような仕事を任されてしまい、留学が仕事に全く生きてこないケースもあります。
「留学させたものの、どの部署で働いてもらえば良いか分からない。」
「人員不足で、MBA卒業生にだけ希望の部署に就いて貰う訳にはいかない。」
このような声が人事担当者から聞こえてくる企業があるのも事実です。
こういったMBAホルダーと職務のミスマッチによって、失望したMBA卒業生が間もなく派遣元企業を辞めてしまうケースもあります。
まとめ
いかがでしょうか。
今回は、MBA卒業後のキャリアについての概観を述べさせていただきました。
MBA取得をお考えの方や、MBA留学中の方々にとっては、それぞれの選択肢についてより深く知りたいとお考えかと思います。
①転職、②起業、③出戻りの3パターンについて、今後の投稿記事にて詳しく解説していきたいと思います。
コメント