今回は、私のMBA合格体験…ではなく、“不合格”体験をご紹介したいと思います。
その目的は、私の失敗体験を参考にして、読者の皆様のMBA受験の成功に繋げていただきたいと思うからです。
最近、なぜ倒産 23社の破綻に学ぶ失敗の法則という本を読みました。
この本は、中堅・中小企業の経営破綻事例とその真相に迫る、月刊誌「日経トップリーダー」の連載、「破綻の真相」を基に編集されたものです。
その本の冒頭に、面白い指摘があります。
成功事例を知ることはもちろん大切ですが、そのやり方を自社に取り入れても、成功するとは限りません。成功事例は、再現性が低いのです。なぜなら、成功はいろいろな条件の組み合わせだからです。 ー中略ー 対して、失敗事例は再現性が高い。
なぜ倒産 23社の破綻に学ぶ失敗の法則 日経BP社
同じことが、MBA受験にも当てはまる気がしています。
かくいう私も、受験期にはMBA合格体験記を読み漁ったものです。
- 過去の受験者は、いつの時点でスコアメイクを終えているのか?
- 対策期間わずか8か月でスタンフォードに合格した受験者が採用したGMATの勉強法とは何なのか?
しかし、当然ながらMBA受験の難易度は受験者の置かれた状況によって大きく変わります。
前提条件が違いすぎて、他人の成功体験がそのまま役に立つことは少なかったように思えます。
それよりも、上の書籍の言うように、失敗体験を共有する方が、再現性高くMBA受験成功の確度を上げられるのかもしれません。
そういった思いで、私の不合格体験記を通して、MBA受験に関する“反省点”を共有させていただきたいと思います。
不合格校その①:Michigan University Ross School of Business
私は、ジェネラルマネジメントが強みのMichigan Rossを志望校の1つに定めました。
大学ランキングで上位に位置するエリート校です。
まずは、Rossへの出願に耐えうるテストスコアを揃えることを、当座の目標に据えました。
具体的には、TOEFL105点突破、GMAT700点突破を目指しました。
Rossは、IELTSを英語力証明テストとして認めていなかったため、この時点でIELTSは受験しないことを決めました。
結果、TOEFLのスコアは105点はおろか、100点を超えることさえできませんでした。
半ば記念受験のような心持ちで、当時のベストスコアを添えて出願はしましたが、面接のインビテーションを受けることはありませんでした。
学校説明会にて知り合った方々は非常に人柄が良く、最後まで私の受験を応援してくださっていただけに、悔しい敗退でした。
関連記事 >>> TOEFL iBT(R) テスト100点突破 おすすめ勉強法
反省点①:+5点の目標設定
TOEFLで105点を目指すためには、105点を見据えた勉強計画では不十分でした。
5点高く、110点を狙って勉強を計画すべきだったと反省しています。
TOEFLで110点を取るには、4科目合計で10点しか落とせない。
スピーキングセクションで23点より高い点数は取れないとすると、他の科目は満点近い点数が必要になります。
そう考えれば、「リーディングは、GMATの勉強と並行して伸ばしていけば良い」とか、「リスニングは、24点取れていれば大丈夫」という見通しの甘い目標設定は出てこなかったと思います。
反省点②: 他人のスコアは無視する
私は幾度となく先輩方の合格体験記を読んで、自分のスコアメイク状況と比較して一喜一憂していました。
具体的には、出願1年前の段階でTOEFLのスコアメイクを終えている方の体験記を読んで憂鬱になり、出願1ヶ月前に滑り込みで目標スコアをとった方の体験記を読んで「まだまだ大丈夫」と自分を安心させていました。
自分よりも厳しい状況で合格した方の事例から勇気づけられたいというお気持ちは痛いほど分かりますが、理想と現実の差を認識するたびに自己嫌悪に陥り、肝心の勉強の生産性が落ちるので、やめた方が良いです。
むしろ、私が注視すべきは「勉強の生産性の低さ」でした。
振り返ると、なんと2,000時間近くをTOEFL対策につぎ込んでいました。
勉強に集中できる環境づくりやメンタルコントロールなど、今思えば勉強法の改善点はたくさんあります。
それをMBA在学中の学習に生かしている訳ですが…
反省点③: TOEFLに見切りをつける
TOEFLに見切りをつける、ということは、Rossへの入学をあきらめるということを意味します。
しかし私の場合、Rossへの入学が叶わない場合は、他の大学の受験を考えなければならない(留学を1年先延ばしにすることができない)状況にありました。
そのため、TOEFLでのスコアメイクが上手くいかなかった場合、他大学の受験のことも考えてIELTSに転向し、何とかボーダーラインを超える点数を出さなければならなかったのです。
ところが、RossあるいはTOEFLへのこだわりが強く、どうしてもテスト転向に踏み切れませんでした。
志望校に行けないのは悔しいことですが、MBA受験全体の目的を考えると、テスト転向を早急に判断すべきだったと反省しています。
この件に関しては、別記事にて詳しく解説していますので、同じ悩みを抱えていらっしゃる方は参照してみてください。
関連記事 >>> 【MBA受験対策】TOEFLとIELTSどっちが良い?両方受けた私が比較
不合格校その②:UNC Kenan-Flagler Business School
UNC Kenan-Flaglerは、出願の後学校からインビテーションを頂くことはできませんでしたが、私から「学校訪問に現地へ行くから、そのついでに面接を受けさせてくれ!」とお願いしたところ、アドミッションの好意により面接してくれることになった学校です。
(受験生側からアドミッションにお願いすると、インビテーション無しでも面接を受けさせてくれることがあるというのは、知られていない意外な事実ではないでしょうか。)
関連記事 >>> 【受験生必見】海外MBAは情報戦|受験前に教えてほしかった5つの事実
他校の面接予定に合わせて、UNCへの訪問スケジュールを組みました。
全部で4つの学校を回り、UNCは最後の訪問でした。
在校生の方々にお世話になりながら、学校の雰囲気や住環境等に対する理解も深まり、訪問が進むにつれてUNCに対する志望度も高まっていきました。
しかし面接の結果、残念ながら不合格通知をもらうこととなりました。
反省:面接への慣れから来る慢心、準備不足
UNCの面接を受ける頃には、複数の学校の面接を受け、そのうちのいくつかより合格通知もいただいていました。
序盤に受けた学校の面接には、カウンセラーとの模擬面接を繰り返して想定質問に対する受け答えを準備し、万全の対策で挑みました。
しかし、受験が進むにつれて面接での受け答えにも慣れが出てきて、面接に対する準備が甘くなっていきました。
序盤に受けた複数の面接で質問されなかった事項については、今後も聞かれないだろうと思い対策を怠った
過去に出題されたことがあるが、出題確率は低い(重要性も低いだろう)質問に対策時間を使いすぎた
上記の点が敗因と思われます。
その結果、「あなたの弱点を2つ述べてください」という、恐らく受験生みんなが用意してきているであろう基本的な質問にうまく答えられませんでした。
面接の慣れには十分に注意してください。
また、面接の時間内に出される質問のすべてが同じように重要なものではありません。
志望理由や自身の強み・弱み、当学校を選んだ理由等、合格のためには外せない質問が必ずあります。
対策の優先順位を間違わないようにお気を付けください。
MBA留学面接試験の実態 2013: ケロッグ・カネーギーメロン・パデゥーの面接試験
最後に… (MBA受験生の皆様へ)
とある学校の卒業生の方に説明会でお会いした際、
「MBAは合格してから始まるんじゃない。受験期間から、MBAでの学びはすでに始まっているんだ。」というお言葉をいただきました。
MBA留学生活の半分が過ぎた今、その言葉の通りだと感じています。
TOEFL英語だけでは、英語で学校生活を送るには不十分と言われます。
実際のところ、入学後も英語の勉強は継続しています。
「もう俺は英語完璧。」と思ったことは一度もありませんし、これからもそう思うことは無いでしょう。
ただ、「TOEFLやGMATを頑張って勉強して本当に良かったな」と感じる場面はたくさんあります。
TOEFLで鍛えたリスニング力は講義を理解するのにとても役に立っていますし、GMATで早く文を読む練習をしたから、今分厚い教科書を渡されても気後れせずに授業についていけています。
受験期間中は困難や苦悩が多々あると思いますが、現在の苦しみは入学後の生活に生きてくる。
受験期間からMBA生活は始まっているんだ!と思って、頑張ってください。
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