今回は、MBA受験において避けては通れない問題、
「TOEFLとIELTS、どちらを受けるべき??」
について、私の知見を共有させていただきます。
何を隠そう、私自身がこの問題に最後の最後まで悩み続け、結果的に両方のテストでスコアメイクに挑戦した経験があります。
関連記事 >>> TOEFL iBT(R) テスト100点突破 おすすめ勉強法
あなたが目指す大学が、どちらかのテストの受験を明確に指定していれば、悩む必要はないんですけどね。。。(うちの大学は、TOEFLのスコアしか受け付けてないよ。等)
しかし実際のところ、非常に多くの大学がTOEFL・IELTS双方のテストスコアを公認しています。
この記事をご覧になっている方はおそらく、以下のどちらかの状況にあるのではないでしょうか。
① これからMBA受験の準備を始めるのだが、TOEFL/IELTS どちらのテストを受験するか迷っている
② すでにテスト対策を始めているが、出願予定日が迫っているにも関わらず目標点数に達していない/到達しなさそうで心配だ
本記事の結論を先に申し上げると、
「TOEFLの点数で出願することを基本とし、出願予定日の半年前までに目標の点数に達していない場合は、自動的にIELTSの受験を始める」
この戦略をオススメします。
以下より、その理由を私の経験を踏まえながらお伝えしていきます。
戦略:まずはTOEFLに挑戦し、出願半年前には自動的にIELTSに切り替える
理由①足切り回避が至上命題:英語力を示せればどっちでもOK
まず第一に、『TOEFLやIELTSを受験する目的は、留学中に必要とされる英語力を兼ね備えていることを示すことである』という本質を理解することが大切だと思います。
つまり、TOEFLでもIELTSでもどちらのテストを選んでも良いのです(先述の通り、大学によって両方のテストを認めていない場合があるので注意)。
例えば、大学ランキングTop 20位以内の米国MBAスクールは、TOEFLで最低100点以上、あるいはIELTSで最低7.0以上のスコアを受験生に要求していますので、それらの大学に入りたければ、何としてでもそれらのスコアを叩き出さなければなりません。
大学側は、TOEFL 100点あるいはIELTS7.0に達していない受験生を「不適合」として、候補者リストからスパっと切り落とすことができます。
テストスコアはこのように、「足切り」として使用される可能性があります。
補足:
学校側の提示するテストスコアに達していないからといって、すぐさま「足切り」されるとは限りません。切り落とすかどうかは、学校側の判断です。
”英語力は足りないけど、優秀な受験生だから、今後の伸びに期待しよう!”と合格を貰えるケースもあります。一方で、”どんなに熱烈に志望動機をアピールされても、英語力がボーダーを超えていない限り合格は出せないんだよ・・・”といった採用担当者の声があるのも事実なようです。
関連記事 >>> 【受験生必見】海外MBAは情報戦|受験前に教えてほしかった5つの事実
それでは、TOEFL 100点の学生と、TOEFL 99点の学生には違いはあるのでしょうか?
おそらく、その1点の差は測定誤差の範疇でしょう。
英語力の明確な差異は無いはずです。
ただ現実には、「100点に未達、という理由で足切り対象にされ得る」という点で明確な差が存在しています。
よって、TOEFLやIELTSの点数は、点数の大小よりも「志望校の提示する必要点数を超えているかどうか」を重視してください。
テストスコアの微妙な差異は、受験結果に大きな影響は与えないと考えられます。
しかし、ボーダーを超えていないという事実は、採用担当に明確なネガティブメッセージを与えてしまいます。
そうなってくると、TOEFLとIELTS、どちらのテストでも良いからボーダーを超えられるテストで合格点を取る、というのが正しい戦略ということになります。
TOEFL 100点 = IELTS 7.0 という等式を明示している以上、TOEFLであれIELTSであれ、大学が求めている英語力があると示すことができれば良い訳です。
理由② TOEFL対策はIELTS対策に繋がる:逆はムリ
なぜ「まずTOEFLから」取り組むべきなのでしょうか?
理由①でお話しした通り、学校の定める足切りを避けられれば、どちらのテストでも構わない訳ですが、2つのテストが測る英語力は大きく異なる点に注意してください。
TOEFLとIELTSテストの違いについては、以下のWebサイトに詳細にまとめられていますので、ご参照ください。
TOEFL iBTとIELTSどっちが簡単?違い・難易度を比較(換算表も)
こちらの記事でもご紹介した、Babson大学卒業生、Ryoさんのブログです。
要点が整理されていて分かりやすいです。
関連記事 >>> TOEFL対策に迷った時に見るオススメウェブサイト&ブログ3選
重要な点として、TOEFLとIELTSのスコアリングの違いがあります。
以下は、ETSが発表しているTOEFL iBTとIELTSのスコア換算表です(https://www.ets.org/toefl/score-users/scores-admissions/compare)。
例えば、IELTS 7.0のスコアを持つ受験者は、TOEFLでは94〜101点が取れる程度の英語力があると判断されます。
TOEFLは1点刻みで実力を評価してくれますが、IELTSはある程度幅を持ったスコアリングを行います。
この差異は、受験者に有利に働くもあれば、不利に働くこともあります。
まず、IELTSの幅を持ったスコアリングだけを踏まえれば、目標点数に到達しやすいテストであると言えます。
TOEFLで94点しか取れない人も、IELTSでは7.0(TOEFLの100点に相当)が取れることになりますので。
逆に、IELTSは細かく点数を付けてくれないので、バンドスコア間には大きな実力差があると見なされてしまいます。
IELTS 7.0に到達できた人と、6.5しか取れなかった人の間には、TOEFL換算で最大79点〜101点の開きがあります!
IELTSで7.0に到達できなかった人は、「TOEFLで1点ずつ刻んでおいた方が、英語力アピールという点では良かったかもしれない。。。。」と後悔するかもしれません。
以上を踏まえると、
「TOEFLとIELTSのどちらが自分にとって有効かは、目標スコアに英語力が近づいてきてから判断した方が良さそうだ」
となります。
しかし、もう一つ大事なポイントがあります。
「TOEFL → IELTSの変更はできるが、その逆は非常に難しい」ということです。
これは、TOEFLで求められるリスニング力が、IELTSのそれよりも高く設定されていることに起因します。
TOEFL リスニングの方が、扱われる題材の難易度が高い上にリスニング時間も長く、おまけに先述の通りスピーキング・ライティングセクションでもリスニング力が問われます。
しかも、TOEFL iBT(R) テスト100点突破 おすすめ勉強法の記事でも書きましたが、TOEFL リスニング攻略は一筋縄ではいきません。
対策にかなりの時間と労力を要します。
そういった観点から、IELTSをしっかり対策した方でもTOEFLでのスコアメイクに苦戦する可能性が高いです。
逆に、TOEFL対策をしっかり行った後であれば、IELTSへの転向はスムーズに進みます。
ほとんど対策を行わずとも、リーディングとリスニングは高点数が期待できます。
スピーキングは、TOEFLと異なり面接方式で行われます。
少し慣れが必要ですが、「パソコンに話しかけるよりずっとやりやすい」と感じる方も多いのではないでしょうか。
逆に、ライティングセクションは難易度が上がりますが、そこまでのビハインドにはなりません。
以上より、
「まずはTOEFLの対策をしっかりと行った上で、スコアの推移を見ながらIELTSの受験を考える」という戦略に行き着きます。
理由③ 純粋に英語力強化に向き合えるのは出願半年前まで
最後に、「いつIELTSのテストに切り替えるか?」という問題が残ります。
受験者の置かれた状況によって判断が変わってくるところなので、はっきりとしたことは言えませんが、私からは「出願予定日の半年前までに目標スコアが出ていなかったら、IELTSへ自動的に転向する」という戦略を提案します。
これは、サブタイトルにもあるように、「純粋に英語力強化に向き合えるのは、出願の半年前くらいまで」という事実に基づいています。
出願日が近づくと、
①出願書類の準備(エッセイの執筆等)
②GMAT/GREのスコアメイク
③スコアメイク期限が迫ることによるプレッシャー
これらにより、TOEFL/IELTSテスト対策に時間を割いて英語力の底上げを図ることが難しくなります。
関連記事 >>> 【GMATスコアが伸び悩むあなたへ】GRE転向のススメ|海外MBA受験
もちろん、出願まで半年を切った後も、テストを受け続けることはできますが、ここまで来ると4技能全てで良いスコアを揃えるスロットゲームをやっているような状態です。
スロットを回し続けた結果、お望みのスコアが揃う可能性もありますが、そもそもの英語力は上がっていないので、いつまでもスコアが出ずに時間だけが経過する、、、という状況にも。。。
そこで、受けるテストを変更することで何とか目標スコア到達を目指す、ということです。
特徴の異なる2つのテストにおいては、英語の実力が同じであっても一方のテスト結果が高く出ることは十分にあり得ます。
また、「自動的に」IELTSに移行するとしたのにも意味があります。
受験生は誰しも、「出願前までには、志望校合格のための理想の点数を達成したい」というゴールを描いて受験生活をスタートさせるはず。
そして、そのゴールを目指してツラい勉強の日々を乗り越えてきたはずです。
その思いが強ければ強いほど、途中でTOEFL受験を投げ出してIELTS受験に切り替えることに尻込みしてしまいます。
「TOEFLで目標スコアにたどり着く以外、あり得ない」
「こんなに勉強したんだから、途中で移行するのは勿体ない」
「TOEFLでもIELTSでも結果が出なかったらどうしよう…」
受験期の私は、以上のようなことを考えていました。
あなたの目的が「TOEFLで目標点数を取ること」ではなく、「〇〇大学に受かること」なのであれば、IELTSで目標点数を取れば良いのです。
大きな重圧にさらされるMBA受験では、目的と手段が入れ替わってしまうという事態が頻繁に起こるため、注意してください。
【補足】
ここで、私の受験体験をもう少し共有しておくと、
出願の年の7月(出願の半年前)、TOEFLのベストスコアは89点。目標の100点まであと11点まで来ていましたが、相当に焦っていました。
IELTSへの転向という道があることも知っていましたが、そちらには目もくれず、出願準備と並行してTOEFL受験を継続しました。
10月に98点まで点数を上げることができましたが、その後はスコア更新できず、翌年1月の出願日を迎えます。
出願を終えて、少し時間の余裕が出来たため、ひょっとしたら学校との交渉材料に使えるかもしれないと思い、IELTSを初受験します。
もちろん、IELTSのための対策は一切していません。結果は、
6.5(R 8.5 / L 6.0 / S 6.0 / W 6.0:平均 6.625)!!!
いずれかの科目であと0.5点取れれば、7.0に届く点数でした。
「初受験でこの点数!?もっと早く受けておけば7.0取れていたかもしれない!!」
・・・
私の受験戦略に対する後悔もあり、この戦略をオススメしたいと思います。
まとめ:あなたの目的を見失わないために・・・
いかがでしょうか。
今回は、私の受験体験を踏まえて、TOEFL/IELTS受験戦略についてお伝えしてきました。
これらのテストは、英語学習の達成度を “明確な数値”として示してくれます。
進捗確認のツールとしては便利な一方、スコアの上下に一喜一憂してしまいがちです。
それがいつしか「点数を追うことが受験の目的」にすり変わってしまう要因の一つであると思います。
早期にスコアメイクを終えた受験生が勝ち組に見え、まだ目標点数に届いていない自分の現状を卑下する日々。。。
それは本当にツラいものです。
あなたの真の目的である「志望校に受かること」を見失わず、スコアメイクによる精神的な負担を少しでも軽くするために、本記事がお役に立れば幸いです。
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