ウィズコロナで難化するアメリカMBA留学

MBAとは&受験対策

どうも。今回は、アメリカMBA留学についての最新事情についてお伝えしたいと思います。

2020年12月2日付、ウォールストリートジャーナル誌に、こんな記事がアップされていました。

M.B.A. Applicants, Brace for ‘Most Competitive Year Ever’

2021年度アメリカMBAフルタイムプログラムへの出願は、受験生にとって相当に厳しいものになるだろう、と記事は伝えています。

原因は、言わずもがな新型コロナウイルス蔓延の影響です。

本記事では、米国MBA受験難化に至った背景について、解説いたします。

なぜ、2021年度の米国MBA留学は、例年と比較して難易度が高まったのか?

私個人は、コロナ蔓延により先行き不透明感が増すことで、MBA志願者は減少するのではないかと予想していました。

MBA取得のために一旦職を手放したとしても、好景気の続いていた2019年度までは転職や再就職に楽観的でいられたでしょう。

また、コロナウイルスは大学教育の在り方そのものに対して大きな影響を与えました。

「教室で授業を受けるのが当たり前だったが、本当にそれがベストなのか?」

巷ではこんな声もよく聞かれるようになりました。

しかし、フタを開けてみると、アメリカMBAプログラムには志願者が殺到しているようです。

しかも、オンラインコースではなく、フルタイムコース(現地で授業を受ける形式)に、です。

①2021年度入学に向けて、米国MBA志願者が殺到

直近の米MBAプログラムの入学志願者数は、減少傾向にあります。

Forbes Japan誌: 高収入への通行手形」米国MBAはなぜ人気が凋落したのか?

上記事にあるように、アメリカMBAは「高収入&エリート集団への通行手形」とみなされてきたが、その価値が問い直されていると言えます。

ところが、コロナパンデミック以降はその傾向を吹き飛ばすかのように、入学志願者が殺到し、5年ぶりに増加傾向を見せているとのことです。

コロナ不景気を受けて、就職先を見つけられなかった(見つけられなさそうな)人々が、勢いを失ってしまった就職市場から一旦ビジネススクールに逃げ込んで、景気回復を待とうとしています。

また、多くのビジネススクールが、2021年度出願に限り、出願要件からGMATスコアの提出を免除することを決めています。

テストの点数が出せなくて難関校に挑戦できなかった受験生にとっては、千載一遇のチャンスというワケ。

例を挙げると、記事中でも紹介されていますが、米ジョージタウン大学(Georgetown University McDonough School of Business)の2021年度出願者数は、前年度比で29%増しとなったそうです。

②2021年度に入学を遅らせた、2020年度合格者がいる

コロナパンデミックで最も面を食らったのは、おそらく2020年度入学生でしょう。

大学から合格通知を貰って安堵した3月(2nd roundの合格発表シーズン)。

それもつかの間。

3月下旬にはアメリカで新型コロナウイルス感染者数が、爆発的に増加しました。

春休み明けには、ほとんどの大学が対面式授業からオンライン形式授業に完全移行しています。

収まる気配のないウイルスの蔓延に、「夏の入学までに対面式授業に戻るのは無理だろう」と思われたかと思います。

一部の大学では、「2020年に入学予定だった学生に対し、2021年以降の入学に先送りすることを許可」しています。

つまり、2021年度入学分の座席は、すでに入学を決めている学生で一部埋まってしまっているということです。

③政権交代の影響により、VISAはく奪の留学生にもチャンスが

2020年は、コロナウイルス蔓延の影響と、トランプ大統領政権下でのVISA規制強化の影響により、アメリカ国外から来る留学生の数が激減したそうです。

Bloomberg誌: Top-Ranked U.S. Business Schools Are Losing Vital Foreign Students

記事によると、Top20MBAスクールに占める留学生の割合は、前年比で14%下落しているそうです。

コロナパンデミックの終息と、政権交代の影響によるVISA規制の緩和が実現するとすれば、落ち込んでしまった留学生の米国MBA出願が、2021年度出願にてある程度跳ね返ってくるものと思われます。

結果、熾烈な席の奪い合いに

上述のような理由により、2021年度のアメリカMBA留学は、競争率が大きく増加するとみられています。

具体的に言えば、出願者全体に対する書類選考通過率や、合格率が低下すると見られています。

加えて、出願者増及び募集人数減の影響を受け、3rd round以降の出願受付を停止する可能性もあるとのこと。

2nd roundで希望校のすべてに出願しなければならないかもしれません。

GMAT免除措置も、厄介な変更です。

テストスコアでの差別化ができなくなりますので、エッセイやインタビューが合否に与える影響がより大きくなると言えるでしょう。

MBAプログラムの教育関係者からも、「テストスコアを見ずに合否を決めてしまって大丈夫か?プログラムの質は維持されるのだろうか?」と疑問の声が上がっています。

対策として、募集人数をを一時的に増やそうとする大学もあります。

ハーバード・ビジネススクールには、例年930名程度の学生が入学しますが、2021年は募集人数を約1,000名にまで引き上げるとの事。

しかし、普段から多くの学生数を抱えていない学校には、急激な生徒数増に対応できるだけのリソースがありません。

そもそも、コロナウイルス感染防止対策のために、1つの教室に収容できる学生数に大幅な制限を受けていますので、スモールスクールにはそのような対応は難しいでしょう。

まとめ:入念な下調べの上で判断を

以上で見てきたように、新型コロナウイルスの影響を受けてアメリカMBAを取り巻く環境が大きく変わってきています。

それに合わせて、受験戦略も変えていかなければなりません。

昨年までは有効だった対策が、今年からは通用しなくなっている可能性は十分にあります。

受験をお考えの方々は、くれぐれも慎重な下調べの上で、出願準備を進めていってください。

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